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2025/4/21 COLUMN

 

パッシブデザイン5つの要素

~日射熱利用暖房~

 

寒い冬でも、エアコンやストーブに頼りすぎずに室内をあたたかく保てたら…
そんな暮らしを叶えてくれるのが「日射熱利用暖房」です。

これは太陽の熱エネルギーを活用して室内を暖める、パッシブデザインの基本要素のひとつ。

今回は“日射熱利用暖房”について詳しくお伝えします。

 

 

 

 

 

パッシブデザインの定義とは

夏は涼しく、冬はあたたかく。
そんな快適な暮らしを、機械や設備に頼らず、自然の力で実現する——
これが「パッシブデザイン」という考え方です。

 <パッシブデザインとは?省エネで快適な住まいづくりの第一歩>

建物の配置・形状・プランニングなどを工夫し自然エネルギーを最大限活用・調節し省エネルギーで快適な暮らしを実現させていく設計手法です。

 

パッシブデザインには5つの要素があります。

 

今回はその中の 『日射熱利用暖房』についてです。

 

 

要素② 日射熱利用暖房

日射熱利用暖房には、次の3要素が重要になります。

 

① 日射取得性能(集熱)

太陽の熱をしっかり取り込むためには、冬の低い太陽高度を意識した窓の配置や開口部の設計が必要です。
特に南側に大きな開口部(窓)を設けることで、日中の貴重な熱を室内に取り込むことができます。

この時、夏至や冬至を基準に考えるべきではありません。もっとも暑いと想定される8月20日では夏至よりも太陽高度は低くなります。

また冬至は 12 月下旬頃であり、平均的にはまだそれほど寒い時期ではありません。もっとも寒くなると想定されるのは 1 月20日であり、その頃は冬至よりも太陽高度は高くなります。それを理解した設計が必要です。

また屋根の軒や庇の長さも重要です。夏の高い日射を遮り、冬の低い日射を取り込むためには、開口部と庇のバランスや窓の付属部材などを使った設計が欠かせません。

② 断熱性能

次に大切なのが、せっかく取り込んだ熱を逃がさないようにする断熱の役割です。高性能な断熱材を用いた外皮設計により、外気の影響を受けにくくし、保温性を高めます。

とくに高断熱・高気密住宅では、少ないエネルギーで室内の温度を一定に保つことが可能になり、熱の出入りを抑えることで、日中に蓄えた暖かさを夜まで保つことができます。

③ 蓄熱性能

そしてもうひとつ重要なのが「蓄熱」。太陽から得た熱をすぐに放出するのではなく、ゆっくりと時間をかけて放つことで、朝晩の寒暖差をやわらげ、室温を安定させる効果があります。

具体的には、コンクリートやタイル、土間コンクリートなど、熱容量の大きい素材を床や壁に採用することで、昼にためた熱を夜にかけて放出できます。

 

●敷地条件と設計力

日射熱を活かす設計は、単に南側に大きな窓をつければいい、という単純な話ではありません。 周囲の建物の影、隣家との距離、敷地の方位や形状などによって、日射の取得条件は大きく変わります。

つまり、敷地条件が厳しいほど、設計者の力が試されるということ。 パッシブデザインの要となるこの手法は、実は高度な敷地読み取りと設計調整の積み重ねによって成り立っています。

 

 

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●快適性と省エネ、そして健康へ

日射熱利用暖房をしっかり取り入れると、

・光熱費の削減

・室温の安定化によるヒートショック予防

・冬季の室内乾燥の緩和 など、目に見える効果が期待できます。

エネルギー効率のよい住宅は、環境への負荷が少ないだけでなく、そこに住む人の健康や安心にもつながります。

さらに、設備機器に頼らない自然エネルギーの活用は、停電時などのリスクにも強く、住まいのレジリエンス(回復力)を高める要素にもなります。

 

 

 

まとめ

「自然のぬくもりを暮らしに取り入れる」

これが日射熱利用暖房の本質です。自然の恵みを最大限に活かすためには、単なる知識ではなく、敷地を読み解く力と、それを形にする設計力が欠かせません。

パッシブデザインに興味がある方は、日射熱利用暖房という考え方も大切にしてみてください。

 

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