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2025/5/5 COLUMN

 

パッシブデザイン5つの要素

~自然風利用~

 

家の中に風が通り抜けると、なんだか心地よく感じませんか?
パッシブデザインの中でも「自然風利用」は、エネルギーを使わずに快適性を高める、

まさに“自然のチカラ”を活かした工夫です。

今回はその考え方と、実際の設計ポイント、そして日々の暮らしで気をつけたいことをご紹介します。

 

 

 

 

 

パッシブデザインの定義とは

夏は涼しく、冬はあたたかく。
そんな快適な暮らしを、機械や設備に頼らず、自然の力で実現する——
これが「パッシブデザイン」という考え方です。

 <パッシブデザインとは?省エネで快適な住まいづくりの第一歩>

建物の配置・形状・プランニングなどを工夫し自然エネルギーを最大限活用・調節し省エネルギーで快適な暮らしを実現させていく設計手法です。

 

パッシブデザインには5つの要素があります。

 

今回はその中の 『自然風利用』についてです。

 

 

要素④ 自然風利用(通風)

通風とは「空気の動きをデザインする」こと

通風とは、ただ窓を開けて風を通すという感覚的な話ではありません。
敷地の風向や気流の特徴を読み取り、建物の中に「風が通る道」を設計によってつくる

これが本来のパッシブな通風設計です。

風の入口・出口・通り道を「設計的に成立させること」が前提です。

 

◆自然風利用の狙いは次の2つに分類できます。

①涼感を得る

→風が体に当たると、涼しさを感じやすくなります。特に、気温の低い風が当たると、その効果はより大きくなります。

②排熱する
→もうひとつの目的は、室内にこもった熱を外へ逃がすことです。これにより建物全体の温度が下がり、特に涼しい外気を通すことで、より高い効果が得られます。

こうした理由から、自然風の利用は外気温が比較的低い時間帯に行うのが効果的です。たとえば真夏の昼間に風を通すのではなく、夜間を中心に活用し、春や秋など気候が穏やかな時期には日中でも通風が有効なタイミングや地域があります。

 

 

 

 

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それでは、自然風利用のポイントを優先順位をつけて挙げてみます。

①全方位通風の確保

→建物の4面から吹いてくる風を通すように考える。

 

②ウィンドキャッチャーの活用

→縦辷り窓や袖壁などで、窓に平行に吹いてくる風を捕まえる工夫を考える。

 

③高窓の設置

→熱は上に溜まっていくので、排熱に有効な窓を設ける。勾配天井の場合は天窓や頂側窓、フラット天井の場合は最上階に横長の窓を設け高窓とします。

 

④立体通風の考慮

→上下方向に吹く風を、階段室や吹抜を介して通る風を意識して窓配置を考える。

 

⑤窓面積・室内開口部面積の確保

→風をしっかり通すためには、外の風を取り込むための窓の広さと、家の中を風が抜けるようにするための室内の開口部(ドアや間仕切りなど)の広さを十分に確保することが大切です。

 

 


 

『パッシブデザイン講座』でも繰り返し強調されているのは、「設計」だけでは不十分という点です。
設計で通風ルートを用意しても、それを日々の暮らしの中で活かさなければ意味がないのです。

・朝晩は窓を開け、外気を取り入れる習慣

・すだれや外付けブラインドで直射日光を遮りながら風を通す

・不在時も風を取り入れるために、通風雨戸や防犯対策された小窓を使う

 

 

 

まとめ:風を味方につけた住まいづくりを

パッシブデザインにおける通風設計は、「なんとなくの感覚」ではなく、「科学的な裏付け」と「設計力」、そして「暮らしの工夫」の三位一体で成り立ちます。

自然の風を暮らしに取り込むことで、エネルギーに頼らず、心地よく暮らせる家が生まれます。

風を読むこと、それは暮らしの快適さを設計する第一歩です。

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